のものだったのであります。すなわち小生は自分の成功に気が緩むと共に、又も、生れ付きの飲酒癖に囚われるようになりまして、明け暮れロ市内の酒場に流連《いつづけ》し、家事は悉《ことごと》く妻に一任して顧みないようになりました。

 然るにこの頃、ロ市附近に一つの秘密結社が発達しかけておりました。この結社は初め、日本、印度《インド》、支那三国の無頼漢によって組織されておりましたので、その三国の英語の頭字を取ってJ・I・C団と名付け、主として西部亜米利加、及《および》、メキシコ境へかけた民家や、旅行者を荒す強窃盗やインチキ賭博を仕事にしておりましたが、その後次第に西北海岸の都会地に近づいて富豪や銀行を脅やかし、又は各方面の依頼に応じて暗殺を引受くる拳銃業者《ガンマン》の集団となり、英、米、伊、露、等の各国の無頼漢が参加するに及んで、遂に大仕掛の政治的|金儲《かねもうけ》手段を引受くる大団体と化し、一時|桑港《サンフランシスコ》に移しておりました本部を更に東、紐育《ニューヨーク》に移し、名士、富豪の暗殺、同盟罷工《どうめいひこう》の煽動等はもとより、各国に潜入して、悪思想の宣伝、革命等のあらゆる政
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