の皮を引き剥がれた鬚《ひげ》だらけの顔が……。
私は両手で顔を蔽《おお》うた。そのまま寝台から飛び降りた。……一直線に駆け出した。
すると私の前額部が、何かしら固いものに衝突《ぶっつか》って眼の前がパッと明るくなった。……と思うと又|忽《たちま》ち真暗になった。
その瞬間に私とソックリの顔が、頭髪《かみのけ》と鬚を蓬々《ぼうぼう》とさして凹《くぼ》んだ瞳《め》をギラギラと輝やかしながら眼の前の暗《やみ》の中に浮き出した。そうして私と顔を合わせると、忽《たちま》ち朱《あか》い大きな口を開いて、カラカラと笑った……が……
「……アッ……呉青秀……」
と私が叫ぶ間もなく、掻き消すように見えなくなってしまった。
……ブウウウ…………ンン…………ンンン…………。
底本:「夢野久作全集9」ちくま文庫、筑摩書房
1992(平成4)年4月22日第1刷発行
2002(平成14)年9月5日第4刷発行
初出:「ドグラ・マグラ」松柏館書店
1935(昭和10)年1月15日発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※底
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