が真実とすれば、やはりこの絵巻物から引き起された事件に相違ないので、結局するところ、一切の摩訶《まか》不思議を支配する中心的の魔力は、この絵巻物一つから現われている事になる。すべての現実的事実と一切の科学的説明はノンセンス化し得るとも、この絵巻物の魔力ばかりは絶対に、何人《なんぴと》もノンセンス化する事が出来ない事になるであろう。
……だから……この絵巻物にしてもし霊があるならば、すべてを知っているに違いない。同時に自分自身の経歴を、何者よりもよく知っている筈である。……この事件にドンナ風に関係して来たか。どんな手順で呉一郎の手に落ち込んで来たかを一分一厘、間違いなく知っている筈である。そうして又、如何にして両博士を悩まし、且つ、私までも苦めているかという、その裏面の消息をも残らず心得ている筈である。
……この絵巻物の一巻は、今までの間に多くの人々を狂乱させ、迷動させ、互いに相《あい》殺傷させ合いつつ知らん顔をして来た。同様に現在の今日只今も、何一つ知らぬかの如く装《よそお》うて、私の掌《てのひら》に乗っかっている……が……しかし……。
……今から一千百余年前、大唐の玄宗皇帝の淫
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