消え失せたような気がした。器械人形のように顔から手を離して、廻転椅子の上に腰かけ直した。正木博士が出て行った入口の扉《ドア》を見た。正面の壁にかかった黄金と黒の二つの額ぶちを見た。眼の前に散らばっている様々の書類を見まわした。秋の正午に近い光りが、室《へや》中一パイに籠《こも》った葉巻の煙を青白く透かして、色々な品物の一つ一つにハッキリした反射を作っているのを見た。
「……ナア――ンダ……ナア――ンのコッタイ。……これあ……アッハッハッハッハッハッハッハッハッ……」
私は両方の横腹から、たまらない可笑《おか》しさがコミ上げて来るのを両手で押え付け押え付けして笑い続けた。
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……馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿……大馬鹿の大馬鹿の三太郎だったんだぞ俺……アッハッハッハッハッ……
……若林博士も、正木博士もそうなんだ。イヤ、俺よりもモットモット念入りの大馬鹿なんだ。俺たちは三人共、飛んでもない誤解をし合っているのだ。何という馬鹿馬鹿しい間違いだ、……これは……。
……誰が千世子を殺したか。誰が呉一郎に絵巻物を渡したか。……誰が呉一郎の本当の親なのか。WかMか……それとも外にモウ
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