せてくれるであろう事を確信しつつ、幾何《いくばく》もない余命を一|刹那《せつな》に縮めつつ、努力しているのだ」
「……………」
「……とはいえ……これは現在の君の頭から考えると、実に不可解と不合理とを極めた註文と思われるかも知れない。吾輩と若林とが、あの呉一郎と瓜二つによく似ている君を換え玉か何かに使って、虚偽の学術研究を完成して、それを又、虚偽の方法で発表しようと試みているかのように誤解されるかも知れない。しかし……しかし……吾輩は天地の霊に誓って云う。それは吾々二人の間の私的の駆引にこそ凡百《あらゆる》虚偽が含まれておれ、その行っている学術の実験と、それによって証明さるべき学理、原則の中には、一点、微塵《みじん》の虚偽も含まれていないのだ。ただ、その内容とは全然無関係な発表の形式方法にだけ、止《やむ》を得ない虚偽が混っていた訳であるが、それもタッタ今、真実の形に訂正して、君に報告してしまったばかりのところである。
……だから……これだけは、どこまでも吾々を信じてもらいたい。……君は疑いもなくこの実験の経過を、真実の形に直して発表すべき、唯一の責任者なのだ。すなわち若林の調査書類と
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