……その日に発見された斎藤博士の変死体の秘密……。
 ……その斎藤博士の変死に因果された正木博士の精神科教授就任に関する裏面のカラクリの秘密……。
 ……それから一週年目の同月同日に当る昨日《きのう》という日に、正木博士を自殺の決心にまで追い詰めた運命の魔手の秘密……。
 ……その正木博士を奇怪にも、既に一箇月前に自殺していると明言した若林博士の意識|溷濁《こんだく》的、心理状態の秘密……。
 ……そうして……それ等の秘密の裏面に隠れて、それらの秘密の全部を支配しているに違いないであろうモウ一つの大きな秘密……。
 ……すべては唯一人の所業……。
 ……Wか……Mか……。
 ……それが次に発せられるであろう正木博士のタッタ一言によって、電光の如く闡明《せんめい》されはしまいかと思われる……その云い知れぬ恐怖の前の暗黒的な沈黙……静寂……。
 ……けれども正木博士は間もなく、そこから何気もない足取りでコトリコトリと歩き出した。そうして僅かの沈黙の間に、私の恐れていた説明の箇所を飛越《とびこ》して説明を続けた。
「……かくしてMが、この斎藤博士の後任となって九大に着任すると間もなく、この学
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