惜しくて惜しくてたまらないような気がしましたので、何心なく本堂に来て、御本尊様をゆすぶって見ますと、どうでしょう。確かに巻物らしいものが這入っているのがコトコトと手に応《こた》えて来ましたので、余りの事にビックリして胸がドキドキしました。
……けれどもこの事を和尚様に話したら一ペンに叱られてしまいましたので、それから一週間ばかり経って後《のち》に、学校の帰りがけにお線香を上げに行く振りをして、御本尊様の首を抜いて、絵巻物を取出して来ました。
……ところがその絵巻物を持って帰って、人の居ない倉庫《おくら》の二階で開いてみますと、思いもかけない怖ろしい、胸がムカムカするような絵ばかりでしたので、私は二度ビックリしまして、直ぐにも御寺に返しに行こうと思いましたが、その時にフト気が付いて絵巻物の表装を見ますと、何ともいえない見事なものなので、返すのが惜しくなりました。そうして、それから後《のち》は一人で留守番をするたんびに、少しずつ裏面《うら》の紙を引き剥《は》いで壊れた幻燈の眼鏡《めがね》で糸の配りを覗いては、絳絹《もみ》の布片《きれ》に写しておりましたが、見付かると大変ですから、作った
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