げて、滝のように迸《ほとばし》り出て来る正木博士の言葉を遮《さえぎ》り止めた。得意に輝く骸骨ソックリの顔を仰ぎつつ、廻転椅子の上に座り直して問うた。
「……ちょっと……待って下さい。……しかし……先生の、そうした治療の実験は、純粋な学術研究の目的でなさるのですか、それとも……」
「……無論……むろん純粋の学術研究を目的としているんだよ。精神病の治療というものはこうするものだ……という事を、洽《あま》ねく全世界のヘゲタレ学者たちに……」
「マ……待って下さい。そうじゃありません。僕がお尋ねしているのは……」
「……何だ……」
正木博士は不満そうに眼の球を凹《へこ》ました。肩を一つ揺り上げて椅子の背に反《そ》り返った。
「僕がお尋ねしようと思っている事は、こうなんです。呉一郎を発狂さした暗示が、この絵巻物だって事は、まだ誰も知らないでいるんですね」
「……ア。その話はまだ、しなかったっけね。無論、誰も知ってやしないよ。司法当局の奴等だって知らないも同然だよ。テンデ問題にしていないんだからね」
正木博士は又、ツルリと顔を撫でまわして、鼻眼鏡をかけ直した。
「最前からも話した通り、この絵巻
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