る底知れぬ鬼気と、神経から匂って来る堪《た》え難い悪臭に包まれて、殆ど窒息しそうな思いをしながら、やっと、おしまいの由来記の頭が見える処まで来ると、思わずホッとして吾に返った。それから四五尺の長さにメッキリと書き詰めた漢文の上を形式ばかり眼を通して、その結末にある、
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大倭朝《やまとちょう》天平宝字《てんぴょうほうじ》三|年《ねん》癸亥《きがい》五|月《がつ》於《おいて》[#二]西海《さいかい》火国《ひのくに》末羅潟《まつらがた》法麻殺几駅《はまさきえきに》[#一]
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[#地から3字上げ]大唐《だいとう》翰林学士《かんりんがくし》芳九連《ほうきゅうれん》二|女《じょ》芬《ふん》 識《しるす》
という文字を二三度繰り返して読んで、いくらか気を落付けてから、もとの通りに巻き返して箱の横に置いた。それから神経を鎮《しず》めるべく椅子に背を凭《も》たせて、両手でピッタリと顔を押えながら眼を閉じた。
「……どうだ。驚いたろう。ハハハハハ。これだけ描いてもまだ足りないと思った、呉青秀の心理がわかるかね」
「……………」
「常識から考えれば天子を驚
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