白紙の上に現われて来た極彩色の密画を、ただ、真に迫っているという以外に何等の誇張も加えないで説明すると、それは右を頭にして、両手を左右に伏せて並べて、斜《ななめ》にこっち向きに寝かされた死美人の全長一尺二三寸と思われる裸体像で、周囲が白紙になっているために空間に浮いているように見える。それが間隔三四寸を隔てて次から次へと合わせて六体在るのであるが、皆殆ど同じ姿勢の寝姿で、只違うのは、初めから終りへかけて姿が変って行っている事である。
すなわち巻頭の第一番に現われて私を驚かした絵は、死んでから間もないらしい雪白《せっぱく》の肌で、頬や耳には臙脂《えんじ》の色がなまめかしく浮かんでいる。その切れ目の長い眼と、濃い睫毛《まつげ》を伏せて、口紅で青光りする唇を軽く閉じた、温柔《おとな》しそうなみめかたち[#「みめかたち」に傍点]を凝視していると、夫のために死んだ神々しい喜びの色が、一パイにかがやき出しているかのように見えて来る。
然《しか》るに第二番目の絵になると、皮膚《はだ》の色がやや赤味がかった紫色に変じて、全体にいくらか腫《は》れぼったく見える上に、眼のふち[#「ふち」に傍点]のまわ
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