められる虞《おそ》れもありますので、ソックリそのまま寝間着《ねまき》に使っていたのでした。妾はこの一年の長い間、こんなにまで苦心してお帰りを待っていたのです。……それだのに、あなたはイッタイ何のために、姉さんを殺してお終《しま》いになったんですか。そうして此家《ここ》へ何しに帰って見えたんですか。そのお姿はどうなすったんです。姉さんを殺されたくらいなら、妾も序《ついで》に殺してちょうだい……といううちに、ワッとばかりに泣出した」
「ずいぶん姉思いの妹ですね」
「ナアニ。前から呉青秀にモーションをかけていたんだよ」
「……ヘエ……どうして解ります」
「……どうしてって素振《そぶ》りが第一|訝《おか》しいじゃないか。生娘《きむすめ》の癖に、亭主持ちの真似をして、一年近くも物凄い廃屋《あばらや》に納まっているなんてナカナカ義理や物好きでは出来るものじゃないよ。その間に人知れぬ希望と楽しみがなくちゃ……しかも姉の新婚匆々時代の紅い服を着て歩きまわるところなんぞは、ドウ見ても支那一流の、思い切った変態性慾じゃないか。あるいは玄宗皇帝時代に、空閨《くうけい》に泣いていた夥《おびただ》しい宮女たちか
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