の由来記の内容と一字一句違わないから面白いよ。そのうち文科の奴に研究させてやろうと思うが、第一非常な名文で、思わず識《し》らず暗記させられる位だ」
「そうですかねえ。でも何だか、漢文口調のお話は、耳で聞いただけでは解らないようですね。その使ってある字を一々見て行かないと……」
「ウン。それじゃモット柔かく行くかナ」
「ドウゾ……助かります」
「ハハハハハハ。要するにこの玄宗皇帝というおやじ[#「おやじ」に傍点]は、楊貴妃と一緒にお祭りの行燈絵《あんどんえ》に描かれる位で、古今のデレリック大帝だ。四夷《しい》を平らげ、天下を治め、兵農を分ち、悪銭を禁じ……と来たまではよかったが、楊貴妃に鼻毛を読まれて何でもオーライで、兄貴の楊国忠《ようこくちゅう》を初め、その一味の碌《ろく》でなし連中をドンドン要職に引き上げた。つまり忠臣を逐《お》い出して奸臣《かんしん》を取り巻きにして、太平楽を歌った訳だね。あげくの果は驪山宮《りさんきゅう》という宏大もない宮殿の中に、金銀珠玉を鏤《ちりば》めた浴場《バス》を作って、玉のような温泉を引いて、貴妃ヤンと一緒に飛び込んで……お前とオーナラバ、ドコマデモオ…
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