かわってしまったのであった。……室《へや》の中の爽快な明るさ……窓一パイの松の青さ……その中に満ち満ちている白昼の静けさなぞが、今更に気持ちよく、身に沁《し》みて来たのであった。
 しかし、こんな風に私の頭の中が変化してしまったのはほんの数秒の間の事であったように思う。間もなく吾に帰ってみると、正木博士は、そうした私の顔を鼻眼鏡|越《ごし》にニヤリと眺めながら頭のうしろに両手をまわして反《そ》りかえっていた。私の質問を待っているかのように……。
 私はちょっと間誤付《まごつ》いた。どっちにしても質問したい事があんまり多過ぎるので……しかし、どこからでも構わない気で、眼の前の遺言書を取り上げてバラバラと繰って行くうちに、やがて事件記録抜萃の一番おしまいの処まで来ると、そこを指して正木博士に見せた。
「この……絵巻物の写真版と、その由来記を挿入のこと……と書いてあります。その本物は、どうなっているのですか」
「アッ。そいつは……」
 と云い終らぬうちに正木博士は両手を卸して、大|卓子《テーブル》の端をドシンと叩いた。
「……そいつはうっかりしていたよ。ハッハッハッ。君の記憶を回復させようと
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