発作については、もう何も疑問の点は残っていないかい」
「あります」
と私は鸚鵡《おうむ》返しに返事をした。ところがその返事は、私の思いもかけないハッキリした声で飛び出して室中に大きな反響を起したので、私は吾《わ》れながらハッとした。思わず座り直して下腹へ力を入れた。
それはたった今眼の前で起った小さな波瀾……カステーラ事件のために、今まで行き詰まっていた私の気持ちがクルリと転換させられたのかも知れない。それともツイ今しがた失神しかけた時に飲まされたウイスキーが、この時やっと、本当の利き目を現わして来たのであったかも知れないが、いずれにしてもこの時に、私の返事が室《へや》の中で「ウワ――ン」と反響して消え失せたのを耳にすると急に勇気付けられたような気持ちになりつつ、熱い茶を一杯グッと飲み込んだ……が、その又お茶の美味《おい》しかった事……舌から食道へと煮え伝わって行く芳《かん》ばしい薫《かお》りを、クリ返しクリ返し味わって行くうちに、全身の関節がフンワリと弛《ゆる》んで、血の循環がズンズンとよくなって来るのがわかった。気持ちがユッタリとなって、頭がポッカリと軽くなって、吾れにもあらず
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