少女と、双生児《ふたご》の片ッ方か何かとを、見ず知らずの赤の他人同志のまま、わざわざ精神病患者にして、或る念の入った錯覚に陥れて、二人が本気でクッ付き合うように仕向けている……と考えられぬ事もないが、併《しか》し、いくら何でもソンナ残忍不倫を極めた、奇怪千万な学理実験が、人間の心と、人間の手で行われ得るとは考えられない。
……そもそもこうした矛盾と不可解は、どこの行き違いから来たものであろう。
……二人の博士はドウシテこんなに私を中心にして騒ぎまわるのであろう……。
[#ここで字下げ終わり]
……と……。
けれども、それは詰るところ無用の努力であった。そんな風に考えれば考えるほど一切がこんがらがって来て、推測すればする程不可解に縺《もつ》れ乱れて来るばかりであった。しまいには考える事も推測する事も出来なくなって、唯、眉をしかめて、唇を噛んでいる石像のような自分の姿を頭の中で想像しつつ、凝然と眼を閉じているばかりとなった……。
……コツコツ……コツコツ……扉をたたく音……。
私はギクンとして眼を見開いた、魘《おび》えたようになって入口の扉を見た。もしや若林博士ではないかと思って…
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