それはその場になって、君自身が考えてみればいい……とにかく、そんな責任があるかないか……言葉を換えて云えば、呉一郎の頭の痛みが、どうして君のオデコの上に引っ越したかという理由を明らかにする方法は、頗《すこぶ》る簡単明瞭なんだからね。物の五分間とかからないだろう」
「……そんな……そんな容易《やさ》しい方法なんですか」
「ああ、雑作ない事なんだ。しかも理窟は小学生にでもわかる位で、吾輩の説明なぞ一言も加えないでいい。唯、君が或る処へ行って、或る人間とピッタリ握手するだけでいいのだ。そうするとそこに吾輩が予期している、或る素晴しい精神科学の作用が電光の如く閃《きら》めき起って……オヤッ……そうだったかッ……俺はこんな人間だったのかッ……と思うと同時に、今度こそホントウに気絶するかも知れぬ。もしかすると、まだ握手しないうちに、その作用が起るかも知れないがね」
「……それを今やってはいけないんですか……」
「いけない。断じていけない。今君が誰だという事がわかると、今云った通り飛んでもない錯覚に陥って、吾輩の実験をメチャメチャに打ち壊す虞《おそ》れがあるんだ。だから君がスッカリ前後の事実を飲み込
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