手に持っていたウイスキーの平べったい瓶を診察着のポケットに落し込んだ。そうして自分自身もやっと落ち付いたように咳払いをした。
「イヤ。驚くのも無理はない。あの青年は君と同年の、しかも同月同日の同時刻に、同じ女の腹から生れたのだからね」
「……エッ……」
 と叫んで私は正木博士の顔を睨んだ。同時に一切がわかりかけたような気がして、やっと窓の外の呉一郎をふり返るだけの勇気が出た。
「……ソ……それじゃ僕と、あの呉一郎とは双生児《ふたご》……」
「イイヤ違う……」
 と正木博士は厳格な態度で首を振った。
「双生児《ふたご》よりもモット密接な関係を持っているのだ。……無論他人の空似でもない」
「……ソ……そんな事が……」
 と云い終らぬうちに私の頭は又、何が何やら解らなくなってしまった。一種の皮肉な微笑を含みかけた正木博士の顔の、鼻眼鏡の下の、黒い瞳を凝視した。冷かしているのか、それとも真面目なのか……と疑いつつ……。
 正木博士の顔には見る見る私を憫《あわ》れむような微笑が浮かみあらわれた。幾度も幾度もうなずきつつ、葉巻の煙を吸い込んでは、又吐き出した。
「ウンウン。迷う筈だよ。……君は昔か
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