かも知れませぬので、別に不思議がる事はなかった筈で御座いますが、昼間の事を思い出しましたせいか、思わずハッとして立ち止りましたので……するとお八代さんもうなずきまして、土蔵《くら》の戸前の処へまわって行きましたが、内側からどうかしてあると見えまして、土戸《つちど》は微塵《みじん》も動きません。すると、お八代さんは又うなずいて、すぐ横の母屋の腰板に引っかけてある一間半の梯子《はしご》を自分で持って来て、土蔵の窓の下にソッと立てかけて、私に登って見よと手真似で云いつけましたが、その顔付きが又、尋常で御座いません。その上に、その窓を仰いで見ておりますと、何かチラチラ灯火《あかり》がさしている模様で御座います。
 ――私は御承知の通り大の臆病者で御座いますから、どうも快《よ》い心地が致しませんでしたが、お八代さんの顔付きが、生やさしい顔付では御座いませんので、余儀なく下駄を脱ぎまして、尻を端折《から》げまして、梯子を登り詰めますと、その窓の縁に両手をかけながら、ソロッと中の様子を覗いたので御座いますが……覗いている中《うち》に足の力が抜けてしもうて、梯子が降りられぬようになりました。それと一緒
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