の人が云われた……今にわかる……今にわかる……」と云われました。私は何だか訳がわかったような、わからぬような妙な気持ちになりましたが、しかし、その若旦那のものの仰言《おっしゃ》りようが、何とのう上《うわ》の空《そら》で、平生《いつも》とは余程違うて御座る事に気が附いて参りましたので、執拗《しつこい》ようでは御座いましたが今一度念のために「ヘエー。そのようなものを誰が差し上げました」と尋ねますと、又も穴のあく程、私の顔を凝視《みつめ》ておられました若旦那様は、やがて又、ハッと正気づかれたように眼を丸くして、二三度パチパチと瞬《またたき》をされました。そうして何を考えられましたものか、すこし涙ぐんで口籠《くちごも》りながら「これを僕に呉《く》れた人かね……それは死んだお母さんの知り合いの人で、お母さんから秘密に預かった巻物を私に返しに来たのだ。その人は又そのうちにキット私にめぐり会おう。名前はその時に云って聞かせよう……と云ったきりで、どこかへ消え失せてしまったが、私はその人が誰だかチャンと知っている。しかし……まだ何も云われん云われん。お前もこの事を他人に云う事はならん。よいか……サア行
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