けて、外より何者かが入り来りて、麻酔剤を施しつつ、この兇行を演じたりと速断するが如きは、非常なる冒険、且つ、不合理と評するも敢《あえ》て過言に非《あら》ざるべし。
而《しか》して、右の支棒の脱落と思い誤られたる夢中の音響の正体に就《つい》ては、別に発表し得べき重要なる研究資料を有すれども、右は頗《すこぶ》る広汎なる実例と、極めて精密詳細なる心理学的の説明を要するを以て、ここには大略し、唯《ただ》「夢中に於て実在せざる音響を感ずる場合」のうち、睡眠自体を破る程に著しき実例の二三を挙げて参考とするに止《とど》むべし。
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(a)[#「(a)」は縦中横] 夢中に感ぜられつつある幻象の進行が、急に或る行詰まりを生じたる場合……たとえば、或る一種の感情(喜怒哀楽等)が急速に高潮して極点に達すると同時に、何物かの爆発、散乱、又は落下の光景を幻視せし瞬間……等……。
(b)[#「(b)」は縦中横] 夢の進行が突然、或る無限の深さを有する空虚に陥りたる場合……たとえば、世界の涯《はて》より踏み外《はず》し、又は、闇黒の谷に墜落したる刹那《せつな》……等……。
(c)[#「
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