る見込捜索に移りたるため、遂《つい》に何等|得《う》るところなく、事件は所謂《いわゆる》迷宮裡に遺棄さるるに到りたり。(下略)
▼右に関する精神科学的観察
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この事件は著者(正木)自身が直接に調査したるものに非《あら》ざるを以て、専門の精神科学的の考察と説明には多少の不便を感ずるものなり。然れどもW氏が、同氏独特の法医学的の見地に立ちて調査記録したる、この事件の各種の特徴に依て観察する時は、この事件の真相が現代の所謂、科学知識及び、これに伴う所謂常識の発達範囲に於ては、到底判断し且《かつ》、説明し得べからざる「心理遺伝の発作」にあること疑《うたがい》を容れず。筆者の所謂「犯人無き犯罪」の最も顕著なる好適例なり。すなわちW氏の最初の直覚が適中しおりたる事を、一切の事象が指しいる事を一々摘出、明示し得べし。W氏が事件後も尚《なお》、この点に関する疑念を捨てず、前掲の如き貴重なる談話を記録せる、その用意の周到なるに、劈頭《へきとう》の敬意を表せざるを得ざるものなり。
乃《すなわ》ち前記W氏の観察と、三項の談話とを通じて、この事件の真相を究《きわ》むべき、観察要
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