るお前が眼を醒さない筈はない。第一お前は平常《いつも》と違って三時間以上余計に朝寝をしていたのはどういう訳か。絞め殺しておいて胡魔化《ごまか》すつもりで寝ていたのが、つい寝過したのじゃないか。お前はほかに、お前を好いている女がいるのじゃないか。それとも塾生の中にお前が好いている娘がいて、その事に就《つ》いて母親と喧嘩したのじゃないか。母親にお金を強請《せび》ったのじゃないか。毎月|小遣《こづかい》を幾ら貰っているか。一体あれはお前の本当の母親なのかどうか。情婦を親に見せかけていたのじゃないか。スッカリ白状し給え……なんて飛んでもない事を色々と云いかけるのです。……ですけれども、僕はそんな事を聞いている中《うち》に、頭が痺《しび》れたようになりまして、それじゃ人間てものは自分でも知らない間に、人を殺すような事がホントウにあるのか知らん。僕は夢うつつのうちに母親を殺して忘れているのじゃないかしら……なぞとボンヤリ考えたりしながら、俯向《うつむ》いておりますと「そんならここで考えていろ」と留置場に入れられました。
 ――それからその日と、その晩の一夜は何も喰べずに眠ったり醒めたりして、あくる
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