学が卒業したかったんです。そうして母と約束していた父の話を出来るだけ早く聞いてみたいような気持がして仕様がなかったのです……母にはそんな事は云いませんでしたけれども……中学へ入る時もそうだったのです。何故っていうわけはありませんでしたけども……そうしてやっと文科の二年になったばかしのところです(赤面、暗涙)。
 ――ですけど不思議なことに、母は試験が出来ても、あまり嬉しそうな顔をしませんでした。これはずっと前からそうでしたけど、母は僕が勉強をして成績がよくなるのは何とも云いませんでしたが、成績が貼出されたり、僕の名前が新聞や雑誌に載ったりするのは心《しん》から嫌《きらい》だったらしいのです。僕もそんな事は好きませんでしたので、学校の規則で成績品を出さなければならない時には、母がわざわざ僕を連れて「なるたけ隅っこの人眼につかない処へ出して下さい」と先生の処へ頼みに行った事もある位です。先生の方では「なかなか奥床《おくゆか》しい方だ」なぞ云って母を賞めていましたけれども、母の方は奥床しいどころでなく真剣に嫌がっていたようでした。高等学校へ這入る時も、僕の名前が福岡の新聞に出るのを無暗《むや
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