でも、老人の畠打《はたうち》を見物致しておりました青年の、正面向きの大写しで御座います。字幕にあらわしました通り、名前を呉一郎と申しまして、当年取て二十歳で御座いますが、御覧の通り、男が見ましても吸付いてみたいほどのういうい[#「ういうい」に傍点]しい美少年で御座います。
 ところでこの事件の内容に立入りまするに先立って、何故《なにゆえ》に事件の主人公の顔を、斯様《かよう》に大写しにして御覧に入れたかと申しますと、ほかの理由でも御座いませぬ。この少年の骨相が、この事件の根本を支配致しております心理遺伝と、重大な関係を持っているからで御座います。
 御承知の通り骨相学と申しますのは、目下のところ、まだ純正な科学とは申しかねるのでありますが、しかし、その中の或る部分部分は、確かに実際と一致することが判明致しておりますので、正木先生はかようにして、新しい精神病患者の顔を見る毎《ごと》に、その骨相を詳細に亘って研究されまして、その血液の中に、如何なる人種の特徴が混入しているかを、怠《おこた》らず調査しておられるので御座います。換言致しますれば、一切の人間の心理遺伝は、その近い先祖たちの各個人個
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