《ケー》・C《シー》・MASARKEY《マサーキー》会社の超々特作と題しまして『狂人の解放治療』という、勿論、今回が封切の天然色、浮出し、発声映画と御座いまして、出演俳優は皆、関係者本人の実演に係る実物応用ばかり……稀代の美少年と、絶世の美少女を中心として、渦巻き起る不可解に続く不可思議、戦慄に続く驚異の裡《うち》に、二十余名の男女の血と、肉と、霊魂とがいつからともなく、どこからともなく卍巴《まんじともえ》と入り乱れて参りまして、遂にはこの「狂人解放治療場」に於て、悽惨、無残、眼も当られぬ結末を告げるか、告げぬかの際どいクライマックスに到達しようという……よろしく満腔の御期待をもって……【溶暗[#「溶暗」は太字]】……
【字幕[#「字幕」は太字]】 実母と許嫁《いいなずけ》と、二人の婦人を絞殺した怪事件の嫌疑者、呉一郎《くれいちろう》(明治四十年十一月二十日生)大正十五年十月十九日、九州帝国大学、精神病科教室附属、狂人解放治療場に於て撮影――
【説明[#「説明」は太字]】 まず最初に御紹介致しまする、この事件の若い主人公……すなわち最前、小手調としてお眼にかけました十名の狂人の中
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