な空想や幻覚が、次から次に浮き出して来るものである。
ところでこの空想とか、幻覚とかいう奴が、取りも直さず心理遺伝の幽霊に他ならないので、学問的に説明すると、脳髄の反射交感機能が疲労、凝帯《ぎょうたい》したために、理智や、常識との連絡を失った色々な心理遺伝のアラレもない連中が、全身の反射交感機能の中で我勝ちに、勝手気儘な夢中遊行を初めたものに相違ないのである。……とりあえず女ならば、障子の蔭で、洗濯物か何かをツヅクリ廻しながら、来《こ》し方、行く末の事を考えまわしているうちに、いつの間にか取止めもない事を考え初める……あのデパートのあの指輪を万引して、もし見付からないものだったらナアとか……今の亭主が、今のうちに財産を残して死んだら、あんな好《い》い人とコンナ面白い生活が出来るんだけどナアとか……憎いアン畜生を、こんな風に嬲《なぶ》り殺しにしたらナアとか……お義母《っか》さんに猫イラズを服《の》ませたらドンナにか清々《せいせい》するだろうにナアとか……あんな役者と心中したらとか……いっその事ヴァンパイヤになってやろうか知らん……なぞと……。又、男は男で、電車の窓から外を見て、長々と欠
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