枯枝、竹片《たけぎれ》、瓦の破片なぞ……中にはどこで見付たものか、青い草なぞもあります。しかし何しろ相手の畠が、サラサラした白砂の畝《うね》で御座いますから、竹の棒なぞはウッカリすると倒れそうになるのを、御覧の通り色々と世話を焼いて真直に立てております。あんな面倒臭い事をせずとも、グッと砂の中に突込んだら良さそうなもの……と思われる方があるかも知れませぬが、それは失礼ながら素人考えで……この少女は瓦片《かわらぎれ》や竹の棒なぞを、やはり普通の草花か何かの苗だと信じ切っておりますので、決してそんな乱暴な扱いを致しませぬ。さも大切そうに根方《ねもと》に砂を被せておりまするところがねうち[#「ねうち」に傍点]で……しかし、それでも折角、世話してやった竹の棒が二三度も倒れますと……アレ、あの通り癇癪《かんしゃく》を起しまして、柔かい草の苗と同じように、竹の棒を何の苦もなく引千切《ひっちぎ》って棄ててしまいます。あの繊細《かよわ》い、細い腕から、どうしてあんな恐ろしい、男も及ばぬ力量《ちから》が出るかと、怪しまるるばかりで御座いますが、実は人間というものは、どんな優しい御婦人でも、大抵あれ位の力
前へ
次へ
全939ページ中361ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
夢野 久作 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング