桁外《けたはず》れの研究に黒煙《くろけむり》を立て続けて来た吾輩のアホラシサが、今更にシミジミとわかって来たからサ。或は吾輩の精神異状が、こうして静まりかけているのかも知れないが……呵々《かか》……。
……但し……そんな著述の中でも一番|美味《おい》しいロースのクラシタどころだけは、この遺言書の中に留めておいて、適当の時代に、こうした研究を想い立つであろうキチガイ学者の参考に供する事にした。その中でも吾輩の「脳髄論」の内容は、ここに挟んだ切抜きの通り、既に新聞に素《す》ッ破抜《ぱぬ》かれているので、これ以上の内容がある訳でもないから、惜《くや》しい事はちっともない。又、精神解剖学以下、精神病理学に到る研究のヒレどころも、既に、二十年前に吾輩が、卒業論文として九大に提出したこの「胎児の夢」の論文の中に含まれているのだから大略するとして、ここには只、吾輩大得意の「狂人の解放治療」と「心理遺伝」の関係に就《つい》て略記しておきたいと思う。
これを前の新聞記事や、胎児の夢の論文と一緒に読めば、前述の美少年と美少女を材料とする怪実験が、大正十五年の十月十九日……すなわち今日の正午を期して、空
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