うものは、真に驚くばかりである。トテモ電信電話、ラジオぐらいで繋がり合っている人間の社会組織なぞの追付くところでない。……背筋がヒヤリとすると同時に全身がゾ――ッと粟立《あわだ》つ……お尻がチクリとするかしないかに『アッ』と飛び上る……という、それ程左様に迅速敏活を極めているのだ。
 吾々の全身の各器官を形成する三十兆の細胞の一団は、こうしてメイメイに各自専門の仕事を分担しつつ、脳髄の反射交感機能を使って、一斉に、直接に物を見て、聞いて、嗅《か》いで、味わっているのだ。脳髄を中心として一斉に意識し、感激し、闘い、歌い、舞い、喚《わ》めき、叫んでいるのだ。
 ……嬉しいと食慾が進む。胃袋も一緒にハシャイでいるからだ。
 ……飯を喰うと、まだ消化もしないうちに元気が付く。全身の細胞が同時に満腹するからだ。
 だから吾々が自分の生命、もしくは精神として意識しているものの正体は、全身無数の細胞の一粒一粒が描きあらわすところの主観客観が、脳髄の反射交感作用仲介で、タッタ一つにマン丸く重なり合ったのを、透かして覗いているだけのものだ……という事が、もはや文句なしにわかるだろう。同時に吾々が今日まで
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