ないか。この世からなるキチガイ地獄を、全地球表面上に現出させているではないか。
これが偉大なる『脳髄のイタズラ劇』でなくて何であろう。『物を考える脳髄』が『物を考える脳髄』に自作自演さした一大恐怖ノンセンス劇のドン詰めでなくて何であろう。
拍手するものは拍手せよ。
喝采するものは喝采せよ。
泣くものは泣け。笑う者は笑え。
吾輩……アンポンタン・ポカンはこの脳髄文化の現状に気が付くと同時に、歯の根が合わなくなったのだ。この恐怖戦慄に価する脳髄社会の光景を、人知れず嘲笑しているポカン自身の脳髄の冷めたさを自覚すると同時に、左右の膝頭《ひざがしら》の骨がガタガタと外《はず》れそうになったのだ。この脳髄のトリックをタタキ破って、脳髄に対する汎世界的の唯物科学的迷信をドン底から引っくり返して、かくも残忍、悽愴を極めた大恐怖ノンセンス劇の興行を停止させずにはおられなくなったのだ。
吾輩……アンポンタン・ポカンはここに於て立ち上った。奮然として腕に綟《より》をかけた。猛然、畢生《ひっせい》の心血を傾注した最高等の探偵術を応用しつつ、無限の時空に亘って捜索の歩を進めた結果、遂にこの脳髄と
前へ
次へ
全939ページ中266ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
夢野 久作 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング