鼻科、皮膚科、眼科、歯科と数を悉《つ》くして研究を競わせているではないか。
 しかもそのマッタダ中に、そんな研究を編み出した脳髄と、その脳髄に関する病気の研究ばかりを大昔のマンマの『盲目探《めくらさぐ》りの状態』に放置しているのは、何という間の抜けた片手落ちか……精神病の研究のために是非とも必要な精神解剖学、精神生理学、精神病理学、精神遺伝学なぞいう研究科目を、世界中のドコの大学にも分科させないで、所謂《いわゆる》、脳病とか、精神病とかの治療に、あらゆる医者の匙《さじ》を投げさせてしまっているのは、何という脳髄の不行届《ふゆきとどき》であろう。……『人間の生命、もしくは生命意識はドコにドウして宿っているのか』『幻覚はドウして見えるのか』『早発性痴呆とはドコがドウなった事をいうのか』……といったような、誰でも不思議がる『脳髄』関係の重要問題を、これ程に賢明な人間の脳髄が、片《かた》っ端《ぱし》から不得要領の大欠伸《おおあくび》の中に葬り去っているのはソモソモ何という大きな無調法であろう。
 占筮者《うらないしゃ》が自分の運命を占い得ないのと同様に、脳髄が脳髄の事を考え得ないのは、当り前の
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