、胴忘《どうわす》れ、神経質、何々道楽、何々キチガイ、何々中毒、変態心理なぞの数をつくして、出会う人|毎《ごと》に、知るも知らぬも、多少のキチガイ的傾向を帯びていない者は無い。頭の働らきの不叶《ふかな》いなところを持っていない者は無い。すなわち精神病者と五十歩百歩の人間でない者は居ないのだ。
 その証拠には、そんな連中のそうした弱点……すなわち頭の不叶いなところを指摘してやると、誰でもヒヤリとして赤面するか、青すじを立てて弁明するか、腕まくりをして喰ってかかるかする。これはキチガイが自分自身をキチガイでないと主張するのと同じ心理で、まことに馬鹿馬鹿しい極みであるが又、人情の止むを得ないところであろう。……しかもその人情の止むを得ないところを、そのままにして放《ほ》ったらかしておくと、そんな精神病的傾向が当り前の事のように思えて来る。況《いわ》んや当世流行の紳士待遇でも与えようものならイヨイヨ病癖が増長して、イヨイヨ止むを得なくなって来る。そうしてトウトウ絶対に取り止めが出来なくなったのが、家庭悲劇や、犯罪事件となって社会に曝露する。軽いので社会的制裁、重いのになると法律の手にかかる。そ
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