二人じゃ……チャカポコチャカポコ……
 ▼あ――ア。千か万かの一人か二人じゃ。なんと皆さん如何《いかが》で御座る。これが普通の病気であったら。達者な者より大切《だいじ》にされて。医者よ薬よ看護婦さんだよ。柔《やわ》い寝床じゃ、良い喰べ物じゃと。あるが上にもお見舞受けます。人間ばかりか犬畜生でも。小鳥、金魚も場合によっては。後生大切《ごしょうだいじ》に介抱されます。それに引換え精神病者は。病気の正体わからぬお蔭で。赤い煉瓦か野山の涯か。いずれ免《のが》れぬ地獄の責め苦じゃ……チャカポコチャカポコ……
 ▼あ――ア。いずれのがれぬ地獄の責め苦じゃ。なれど皆さんお聞きなされませ。私が今まで木魚をチャカポコ。たたき出したる地獄のお話。病院地獄と野山の地獄は。正直正銘、金箔《きんぱく》付きの。精神病者が落ち行く地獄じゃ。尋常普通のキチガイ地獄じゃ。さてもこれから今|一《ひ》と馬力《ばりき》と。親に不孝な馬鹿声張り上げ。弁じ上げます地獄の話は。それにも一つ※[#「走」の「土」に代えて「彡」、第3水準1−92−51]《しんにゅう》噛《か》ませた。スゴイ、ドエライ地獄の話じゃ。罪も報《むく》いも何にも
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