の旅行《たび》じゃ。北京《ペキン》、ハルピン、ペテルスブルグじゃ。赤いモスコー、四角い伯林《ベルリン》、酔うがミュンヘン、歌うが維納《ウインナ》、躍る巴里《パリー》や居眠る倫敦《ロンドン》、海を渡れば自由の亜米利加《アメリカ》。女の市場がアノ紐育《ニューヨーク》じゃ。桑港《シスコ》の賭博《ばくち》よ。市俄古《シカゴ》の酒よと。千鳥足まで米利堅《メリケン》気取りの。阿呆つくした十年がかりじゃ。見たり聞いたりして来た中でも。タッタ一つの土産《みやげ》というのが。ナント恐ろし地獄の話じゃ……スカラカ、ポクポク。チャチャラカ、ポクポク……
 ▼あ――ア。さても恐ろし地獄の話じゃ。しかも私の凹《へこ》んだこの眼で、チャンと見て来た事実の話じゃ。今日が封切、お金は要らない。要らぬばかりかその聞き賃には、こんな書物《かきもの》を一冊上げます。私が只今唄うております。歌の文句の活版刷りです。あとで何やらマヤカシ物をば。無理に買わせる手段《てだて》じゃないかと。疑うお方があるかも知れぬが。ソンナ心配一切御無用。これは私の道楽仕事じゃ。人類文化の宣伝事業じゃ。何も参考、話の種だよ。サアサ寄ったり、聞いたり
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