間接の因縁ともなったのです。さよう……ここでは仮りに因縁と申しておきましょう。しかしこの因縁が、果して人為のものか、それとも天意に出《い》でたものであるかは、やはり貴方が御自身の過去の御記憶を回復されました後《のち》でないと、確定的な推測が出来ませぬので……」
「アッ……そ……そんな事まで、僕の記憶の中に……」
「そうです。貴方の過去の御記憶の中には、そのような疑問の数々を解くのに必要な、大切な鍵までも含まれているのです」
私は次から次に落ちかかって来る疑問の氷塊《ひょうかい》に、全身を埋め込まれるような気がした。思わず眼を閉じながら、頭を左右に振り動かしてみた。けれどもそこからは、何等の記憶も湧き出して来なかった。ただ、それに連れて眼の前に惨酷《むご》たらしい『狂人|焚殺《ふんさつ》』の絵額や、ニコニコしている斎藤博士の肖像や、蒼白い、真面目な若林博士や、緑色に光る大|卓子《テーブル》や、その上に欠伸《あくび》をし続けている赤い達磨《だるま》の灰落しまでもが、一つ一つに私の過去と、深い関係を持っているものであるかのように思われて来た。同時に、それにつれて、そんな因縁深い品物ばかりに
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