て御覧なさい。その代り、どうぞ半分だけで勘弁して下さい」
「この糞坊主、まだそんなことを言う。半分もクソもあるものか。生命だけは助けてやるからジッとしていろ」
と言いながら坊さんを樫の根方へ縛りつけてしまいました。
坊さんを樫の木へ縛りつけると、泥棒たちはみんなで横の方からその樫の根へ大きな穴を掘り始めましたが、成る程、だんだん穴が深くなると下の方から大きな甕が出て来ました。
「オイ大きな甕があるぞ。この中にその坊主はお金を隠しているのに違いない」
「さようです、さようです」
と坊さんは泣き顔をしながら言いました。
「それを半分だけ上げますから早く私を許して下さい」
「ウン、こんなに沢山あれば半分でいい」
と言いながら、坊さんの縄を解いてやりました。
「さあ見ていろ。この甕をタタキ割るから」
といううちに二、三人が鍬のあたまで甕の横腹を無茶苦茶にタタキ割りました。
見ると中には樫の根が一パイになっていて、お金は一文もありませんでした。
これを見た坊さんは泣き出しました。
「ああ、私がわるう御座いました。その樫の木を植える時に、お前にやるからしっかり番をしろと言ったのを樫の
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