歯をギラギラ光らせながら、思い切って卑《いや》しい……獣《けだもの》のような……声の無い笑い顔をした。
その顔を見ているうちに妾はヤットわかった。ハラムの本心がドン底までわかってしまった。ハラムは運命の神様のマドウーラ様から、この妾を生涯の妻とするように命令《いいつけ》られているに違いなかった。
ハラムはズット前から、妾に死ぬほど惚れ込んでいたに違いない。そうしてその悪魔みたいな頭のよさと、牡牛のような辛棒強さとで、妾の気象《きしょう》を隅から隅まで研究しながら、妾の心を捉える機会を、毎日毎日、一心にねらい澄ましていたにちがいない。
「オホホホホホ。おかしなハラム……そんなに真赤にならなくたっていいよ。妾は嘘を吐《つ》かないから……その代りお前も嘘を吐《つ》いちゃいけないよ」
ハラムは幾度も幾度も唾液を呑みこみ呑みこみした。御馳走を見せつけられた犬みたいに眼を光らせながら……。
「キット……キットお眼にかけます。ハイ。ハイ。私はお姫《ひい》様の奴隷で御座います。ハイ……私は……私はまだ誰にも申しませぬが、世にも恐しい……世にも奇妙なオモチャを二つ持っております。印度のインターナシ
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