っている。妾もその中の大きな活字だけを拾い読みしてみると……この号外をここに挟んでおくわ……ごらんの通りトテモ大変な活字だらけなの……。
――財界のムッソリニ、高利貸王、赤岩権六《あかいわごんろく》氏粉砕さる――
――本日午後五時頃、同氏経営の通称ゴンロク・アパート前、海岸通横町街路上で――××党の爆弾か? 路面のアスファルトに二個の大穴――
――スバラシイ爆発の威力――同氏の遺骸と名刺、同氏乗用の自動車の破片八方に散乱し、該《がい》自動車の運転手とアパート勝手口附近事務室に残留せる女事務員二名惨死し、路上の男女数名即死重軽傷――十数間を隔てた十字路を整理中の交通巡査も打倒されて人事不省――電柱|其他《そのた》附近の店頭メチャメチャ――
――〔続報〕――事件後約一時間を経て出勤した同アパートの宿直|小使《こづかい》白木某は、五階に居住していた美少女エラ子(本名年齢等一切不明)のコック兼従僕にして身長七尺に近い印度《インド》人ハラムと称する巨漢が、同少女の寝室床上に一糸も纏わざる裸形《らぎょう》のまま、射殺されて居るのを発見――次いで同少女エラ子が情夫の××党員らしき青年と共に
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