キャラメルと飴玉
夢野久作
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)飴玉《あめだま》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)羊※[#「羹」の「大」に代えて「人」、268−下−20]
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キャラメルと飴玉《あめだま》とがお菓子箱のうちで喧嘩をはじめました。
「ヤイ、飴玉の間抜け野郎。貴様はまん丸くて甘ったるいばかりで何にもならないじゃないか。俺なんぞ見ろ。ちゃんと着物を着て四角いおうちにはいっているんだぞ。貴様なんぞは着物なんか欲しくたって持たないだろう。態《ざま》をみろヤーイ」
飴玉は真赤になって憤《おこ》り出しました。
「失敬なことを言うな。うちにいる時は裸だけど、外に出る時にゃちゃんと三角の紙の着物を着て行くんだ。第一貴様の名前が生意気だ。キャラメルなんて高慢チキな面をしやがって、日本にいるのならもっと日本らしい名前をつけろ」
「こん畜生、横着な事を言う。キャラメルが悪けりゃあカステイラは西班牙《スペイン》の言葉だぞ。シュークリームでもワッフルでも良
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