《おか》しくてたまらなくなりました。
「マア……可笑しいこと。アノ……チョイト雲雀さん。ここは何という処ですか。教えて頂戴な」
と近寄って行きました。
そうすると雲雀の夫婦は慌てて逃げ出しました。
「ピーツク、ピーツク、ピーツク、ピーツク」
「ツクリイヨ、ツクリイヨ、ツクリイヨ、ツクリイヨ」
と、一生懸命に叫びながら自分の家の方へ逃げて行きますと、その声をききつけて森の中から沢山の雲雀が出て来ました。
その雲雀たちはみんな人間の姿をしていて、お爺さんのようなの、お婆さんのようなの、又は若い人から子供までいるらしく、みんなゾロゾロと連れ出ってオシャベリ姫をすっかり取り巻いてしまいました。
オシャベリ姫を取巻いた雲雀たちは、初めはみんなだまって不思議そうにオシャベリ姫を見ていました。
けれども何もわるいことをしそうにもないので姫は安心をしまして、も一ペン尋ねて見ました。
「まあ……ここは雲雀の国なの? あたしは人間の国から来たものだけれども、帰り途《みち》がどっちへ行っていいかわからなくて困っているのよ。だれか知っているなら教えて頂戴な」
すると、その中《うち》の一番年寄りら
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