いなか、の、じけん
夢野久作

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)巡査《おまわり》さんが

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)白米を四|俵《ひょう》盗んで行った

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+劣」、第3水準1−84−77]《むし》られて
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     大きな手がかり

 村長さんの処の米倉から、白米を四|俵《ひょう》盗んで行ったものがある。
 あくる朝早く駐在の巡査《おまわり》さんが来て調べたら、俵《たわら》を積んで行ったらしい車の輪のあとが、雨あがりの土にハッキリついていた。そのあとをつけて行くと、町へ出る途中の、とある村|外《はず》れの一軒屋の軒下に、その米俵を積んだ車が置いてあって、その横の縁台の上に、頬冠《ほおかぶ》りをした男が大の字になって、グウグウとイビキをかいていた。引っ捕えてみるとそれは、その界隈で持てあまし者の博奕打《ばくちう》ちであった。
 博奕打ちは盗んだ米を町へ売りに行く途中、久し振りに身体
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