十人の小兒に就て、「オリザニン」を與へたるものと、與へないものとの發育状態を調査し、良好の結果を得た。(これには養育院の伊丹醫學博士等の援助を得た。)

脚氣問題で冷笑さる
 斯くて人間にも「オリザニン」の必要なことが確められ、而して白米中には全然これを含まないから、人間の脚氣も必ず「オリザニン」缺乏が原因であらうと信ずるやうになつたのである。が、私が醫者でないために、人間に試驗をするのに非常な不便を感じた。
 最初泉橋病院の若い醫學士に「オリザニン」を送つて試驗を依頼した處 一ヶ月ばかり經つてから「一人の勞働者に試驗した處、その患者は三日ばかりで輕快したと云つて、その後は來なかつた。もう一人は餘程重症であつたが、數日間の服用で非常に輕快に赴いたと云ひ、未だ症状が充分消失しない内に退院してしまつた。多分「オリザニン」が效いたのだと思ふが、併し脚氣は他の療法でも癒るから、これが特效藥だとは云はれない、もつと繼續して試驗することは、主任の先生が許さないから、これでお斷りする」といふのであつた。
 その次に、私の同郷の開業醫が日本橋に居つたから、その人に頼んだが、斷りの手紙を寄越した。そんな
前へ 次へ
全20ページ中10ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
鈴木 梅太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング