されてはいるのだが――ああ! ただあまりに真実すぎる不幸――二、三のとりとめのない事がらを述べたてて、ほんの少しの一時的なものであろうとも、慰めを求めることは、許してもらえるだろう。そのうえ、これらの事がらは、まったく小さな、またそれだけとしてはばかばかしいものではあるが、のちに自分にすっかり蔽《おお》いかぶさった運命の最初のおぼろげな警告を自分が認めた時と所とに関係のあるものとして、私の空想には偶然的な重大さを持っているものなのだ。だから、回想させてもらいたい。
その家は、前に言ったように、古くて不規則なものであった。構内は広くて、てっぺんにはガラスのかけらを漆喰《しっくい》に植えつけた、高い、丈夫な煉瓦塀《れんがべい》が、その周囲をぐるりと取りまいていた。この牢獄《ろうごく》のような塁壁が私たちの領土の限界になっていたのだった。その外《そと》は、一週に三度しか見られなかった。――一度は毎土曜日の午後に、二人の助教師に連れられて、一団となってどこか付近の野原をしばらく散歩することを許されるときで、――あとの二度は日曜日に、村に一つある教会の朝と夕との礼拝式へ、いつも同じ決ったとおり
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