ちょっと珍しい暗合であった。というのは、その日はまさしく私自身の誕生日なのであるから(7)。
 妙に思われるかもしれないが、ウィルスンが我慢ならない反抗精神で敵対して私を絶え間なしに不安にさせていたにもかかわらず、私はどうしてもまったく彼を憎むという気にはなれないのであった。たしかに二人はほとんど毎日のように喧嘩をしたが、その喧嘩では、彼は表向きは私に勝利をゆずりながらも、なにかの方法で、ほんとうに勝ったのは彼であることを私に感じさせるようにした。けれども、私の高慢と、彼の真実の威厳とは、いつも二人を「言葉をかわすくらいの間柄《あいだがら》」にしていたのであった。一方、二人の気質には実によく似た点がたくさんあって、それが、私に、二人がこんな立場でさえなかったら、おそらくは友情にまでなっていったかもしれないのにと思う気持を起させた。実際、彼にたいする私のほんとうの感情をはっきり定義することは、あるいはただ記述することでさえも、むずかしいのである。それは雑多な異質の混合物だった。――憎悪《ぞうお》というほどではない短気な怨恨《えんこん》もあり、尊敬の念もいくらかあるし、尊重の気持はもっと多
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