のなかに、あるひどく不似合いな、たしかにひどく癪《しゃく》にさわる親切ぶかい[#「親切ぶかい」に傍点]態度をまじえるのを、私は不審と屈辱と、立腹との気持をもって認めざるをえないことがあった。この奇妙な挙動は、人を保護したり、かばったりするような卑《いや》しい態度をとりたがる、完全な虚栄心から起るのだ、としか私には考えられなかった。
たぶん、ウィルスンの行為のこの後者の特徴が、二人の名が同じだということと、二人が同じ日にこの学校に入学したという単なる偶然の出来事と一緒になって、私たち二人が兄弟なのだという考えを、その学校の上級生の間にひろげたのであろう。上級生というものは普通は下級生のことを大して精確に詮議《せんぎ》はしないものだ。私は前に言ったが、あるいは言うべきであったが、ウィルスンは私の一家とはどんなに遠い親族関係もなかったのである。しかし、もし私たちが兄弟であった[#「あった」に傍点]としたなら、たしかに二人は双生児であったにちがいない。なぜなら、ブランスビイ博士の学校を去ったのち、私は自分の同名者が一八一三年の一月十九日に生れたのであることを偶然に知ったのだ。――そしてこれは
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