テレパシー
水野葉舟

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)中《うち》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)十町|許《ばかり》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)その人が 或る[#「 或る」はママ]
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 怪談の中《うち》でも、人間が死ぬ断末魔《だんまつま》の刹那《せつな》に遠く離れて居《い》る、親しい者へ、知らせるというのは、決して怪談というべき類《るい》では無かろうと思う、これは立派な精神的作用で、矢張《やっぱり》一種のテレパシーなのだ。
 私の知ってる女で、好んで心理学の書を読んでいた人があったが、その女の談《はなし》に、或《ある》時、その女が自分の親友と二人遠く離れて居て、二人の相互の感情が通《かよ》うものか、如何《どう》か、一つ実験をしようと、前《ぜん》以《もっ》て約束をして、それから後《のち》、お互《たがい》に憶出《おもいだ》した時、その月日と時刻とを記しておいて、後《のち》になって、それを互《たがい》に合《あわ》してみると、その中《うち》の十中の六までは、その相互の感情が、ひったり一致をしていたそう
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