髯籠の話
折口信夫

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)髯籠《ヒゲコ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)所謂|天降《アモ》り

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「竹かんむり/(目+目)/隻」、第4水準2−83−82]《ワク》

 [#(…)]:訓点送り仮名
 (例)天《アメ》[#(ノ)]探女《サグメ》

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)さう/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

     一

十三四年前、友人等と葛城山の方への旅行した時、牛滝から犬鳴山へ尾根伝ひの路に迷うて、紀州西河原と言ふ山村に下りて了ひ、はからずも一夜の宿を取つたことがある。其翌朝早く其処を立つて、一里ばかり田中の道を下りに、粉河寺の裏門に辿り着き、御堂を拝し畢つて表門を出ると、まづ目に着いたものがある。其日はちようど、祭りのごえん[#「ごえん」に傍線](後宴か御縁か)と言うて、まだ戸を閉ぢた家の多い町に
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