ると説くのは必ずそのあやまりを古事記あたりに発してゐるのであらう。〔古訓古事記には占合をうらあへといふ様に下二段にはたらかしてをるけれども、意はやはりはらへ〈祓〉のごとくもとは他動から出て自動[#「自動」に傍点]にうつつてゐる語のやうにあつかうたのはおもしろくない〕)
金沢先生は延言考において、韓語の動詞形容詞に二つの名詞法(※[#ハングル文字、「フ+ト」、463−1]、※[#ハングル文字、「ロ」に似た文字、463−1])がある事とわが形容詞にばかり ki mi の二つの名詞法がのこつてをる事とから推して、動詞にもm形の名詞法が昔はあつたので、ひろき[#「ひろき」に傍線]、しろき[#「しろき」に傍線]がひろく[#「ひろく」に傍線]、しらぐ[#「しらぐ」に傍線]となるやうに、ひろむ[#「ひろむ」に傍線]、しろむ[#「しろむ」に傍線]はひろみ[#「ひろみ」に傍線]、しろみ[#「しろみ」に傍線]の名詞法から動詞にうつつたのでこのm形が変じては行延言[#「は行延言」に傍線]と称するものが出来たのであらう、というてゐられる。
けれども考へてみれば、延言と称すべきものは決しては行とか行とばかりにあ
前へ
次へ
全63ページ中57ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング