およほ・す
[#ここで字下げ終わり]
等について考へてみると音韻の転とのみもおもはれぬ。どうもある点までは音転といふことも考へて見ねばならぬが、将然と終止とがおの/\ある接尾語をよんで他の用言を再びつくつたものと考へる方が前々からのべた通りでよささうである。
[#ここから2字下げ]
こひ・し  さび・し  わび・し
ゆき・す  死に・す  かれ・す
よぎ・る  ゆり・る  ゆれ・る
[#ここで字下げ終わり]
の様なのは連用法体言から出たもので、前項の将然言や終止言から出たものよりは体言的の意味は深い様である。もしも将然言と終止言とがおの/\ある接尾語をよんで用言となつたのではなくしてどちらか一つは音転によりてなつたものだとすれば、自分は人の将然言の方を元とするのに対して、むしろ終止言を根本とすると主張せうとおもふ。もしも将然言をもとゝすれば、ねしく[#「ねしく」に傍線]とかおいらく[#「おいらく」に傍線]などのく[#「く」に傍線]延言はどう説明するのであらう。ねしむ[#「ねしむ」に傍線]、ねし[#「ねし」に傍線](将然言)、おゆらむ[#「おゆらむ」に傍線]、おゆり[#「おゆり」に傍線]
前へ 次へ
全63ページ中54ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
折口 信夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング