およほ・す
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等について考へてみると音韻の転とのみもおもはれぬ。どうもある点までは音転といふことも考へて見ねばならぬが、将然と終止とがおの/\ある接尾語をよんで他の用言を再びつくつたものと考へる方が前々からのべた通りでよささうである。
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こひ・し さび・し わび・し
ゆき・す 死に・す かれ・す
よぎ・る ゆり・る ゆれ・る
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の様なのは連用法体言から出たもので、前項の将然言や終止言から出たものよりは体言的の意味は深い様である。もしも将然言と終止言とがおの/\ある接尾語をよんで用言となつたのではなくしてどちらか一つは音転によりてなつたものだとすれば、自分は人の将然言の方を元とするのに対して、むしろ終止言を根本とすると主張せうとおもふ。もしも将然言をもとゝすれば、ねしく[#「ねしく」に傍線]とかおいらく[#「おいらく」に傍線]などのく[#「く」に傍線]延言はどう説明するのであらう。ねしむ[#「ねしむ」に傍線]、ねし[#「ねし」に傍線](将然言)、おゆらむ[#「おゆらむ」に傍線]、おゆり[#「おゆり」に傍線]
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