をみな死ぬるよりも生るゝ数のます[#「ます」に傍線]意だとといて居るがどうもおちつかぬ。神々の御ちかひによつて、まそけく日々にいそしむおほみたからの意と解する方が適切であらう。
[#ここで字下げ終わり]
以上は一つの仮説にすぎぬ。其語の渾沌時代から生れて来る順序有様等については、或は表に示した所に不完全な点あやまつた点がないでもなからうとおもふ。
今一つこの連体言について考ふべき事は所謂延言の一種々々を語尾に伴うたものについてゞある。いはく[#「いはく」に傍線]、申さく[#「申さく」に傍線]は将然言からく[#「く」に傍線]をうけたものとも見られるけれども、これは恐らく音転であらう。く[#「く」に傍線]延言が連体法から出る証拠は万葉の※[#歌記号、1−3−28]わが背子を何地ゆかめとそきたけのそかひにねしく今しくやしも、勢語の※[#歌記号、1−3−28]桜花ちりかひくもれおい[#「い」に「(ゆ)」の注記]らくのこむといふなる道まがふがに 等の歌をみてもわかる。これらは、ねしこと、おいといふもの(おゆること)といふ事であるから全くの連体法で、これを(ねし、おゆら)体言ともみられぬでもないが
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